2008年09月24日
【号外】ネッツトヨタノヴェル三重で起きた暴力事件に関する読者さんの所感(1)

その後、本所感は、9月22日に、私がスポットコラムニストを務める自動車関連ニュースのメールマガジン「自動車ニュース&コラム」へ掲載されました。
私は、本所感をお読みくださった読者さんから所感を頂戴しました。
また、私が管理人を務めるmixiコミュ「新車購入研究会」で立てられた本事件に関するトピ(↓)にもメンバーさんからコメントが寄せられました。
http://mixi.jp/view_bbs.pl?id=34754219&comm_id=2750302
(※閲覧にはmixiのIDが必要です。IDをご希望の方は堀宛へメール願います。)
つきましては、今号と次号は引き続き号外とさせていただき、私の所感をお読みいただいた読者さんが寄せてくださった所感を、同様事件の再発防止の参考情報として転載させていただきます。
何卒ご了承いただきますようお願い申し上げます。(礼)
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Iさん】
「ネッツトヨタノヴェル三重で起きた暴力事件に関する所感」、興味深く拝読しました。
私が本報道を知り、最初に思ったこと。
それは、「起こるべくして起こった事件ではないか」ということです。
非常に冷めた感覚が己の心に巣食っているのを嫌悪に感じるものの、正直そう思いました。
堀さんも書かれているように、記事の断片のみで事件についてアレコレ語ることは難しいです。
が、少しでもご参考になればと、勝手な雑感を申し上げる次第です。
> この事実は、以下のいずれか又は複数が事実であったことを
> 物語っています。
私は、この事件の背景には、かなり強烈な弱者心理が、他の店舗スタッフの心の中、いや、社長やマネージャーの心の中にも大きく巣食っていたのではないか、と思っています。
記事から推察するに、事件が起きた店は売上が悪かったようなので、暴行を受けていたスタッフは言うに及ばず、その他の店舗スタッフもデキない営業マンだった可能性が高いです。
だから、彼らは、店長の暴行を制止すると矛先が自分に向けられるであろうこと、並びに、その矛先をかわし得る販売実績その他の武器や術を一切持っていないこと、を認識していたのではないか。
つまり、彼らは、制止したくてもできない状態にあったのではないか。
私はこう思っています。
無論、「営業成績をすぐにトップクラスに引き上げていた」ようなので、このお店にはデキる営業マンも居るのでしょう。
でも、そういう人は「有能な個人商店主」に過ぎません。
堀さんも懸念しておられますが、私も、彼が、「無能な個人商店主」を罵倒したり、無視する側に立っていたのではないか、と思っています。
(本当にデキる人は、無能な人にも優しいものです。)
私は、暴行を起こした店長の上司である社長やマネージャーは、自分の任命責任を180度逆に解釈していたのではないか、と思っています。
もしくは、何らかの引け目、即ち「弱者心理」が作用して、当該の店長に何も言えなかったかのではないか、と。
また、最悪、数字しか見ないタイプで、売上を躍進させた店長を誉め倒していたのではないか、とも。
(あくまで杞憂であるといいのですが。)
それと、私は、世代差にも着目しました。
当該の店長さん、34歳とのこと。
彼は、就職氷河期世代の社員さんです。
彼は、どのような経緯で、若くして店長まで昇り詰めたのか。
もちろん、真実はわかりません。
ただ、世代から推察するに、相当な苦労を経て昇り詰めたのではないか、と私は思っています。
きっと彼は、「会社に余力は無いが、社会奉仕だと思って、仕方なく採用してやったんだ」くらいのことは言われているでしょう。
上司からのこうした人格破壊の言われ方に耐えられず、辞めて逃げ出した社員は少なくないでしょう。
でも、この店長さんは、きっとそれを見返そうと頑張ったのでしょう。
店長の早期着任は、その結果です。
彼は、旧来型の個人商店&強者偏重システムで、見事勝利を収めました。
さて、一方の被害者の新入社員さん。
十把一絡げの表現はどうかとも思いますが、間違いなく就職売手市場世代の社員さんです。
それは、
> 会社をやめたら収入がなくなるし再就職活動は面倒くさい
という(真偽のほどは置いといて)コメントからも、透けて見えます。
この発言にキレた、もとい、感情的になった、という店長さんの気持ちはわかるつもりです。
旧世代が作った個人商店&強者偏重システムに組み入れられてからは言うに及ばず、そのシステムに組み入れられる前でさえ、就職氷河期で狭い関門を突破して来る以外無かった店長からすれば、その発言はもう、「甘ったれてんじゃねぇ!」という以前に、自分自身を否定されたような気分に陥ったことでしょう。
なぜなら、当時は、面倒臭いとか、そういう次元じゃなかったですから。
自動車販売店の営業活動に対する提言は、本職である堀さんの方が広く深いと思いますので、余計な発言は差し控えたいと思います。
ただ、社内組織のミスマッチというか、就職氷河期世代の丁度兄貴分に当たる世代が、リストラの名の下に失われてしまっていることが、今回の事件の遠因として横たわっているような気がしてなりません。
一昔前であれば、若くして抜擢された店長を、昼行灯な副店長や係長がやんわり丸く仕上げて行く、というシステムがあったからです。
私は、日本の昇進システム、特に、「営業実績が優れているから管理職に抜擢!」という人事制度が、もはや制度疲労を起こしている、と思っています。
日本の企業の多くは、何時の頃からか、「売上を上げる = 対外的折衝能力」と「部下を統率する = 対内的折衝能力」を、混同して考えるようになりました。
このことは、今多大な混乱を招いています。
就職氷河期は人災です。
当時、企業で意思決定の権限を持っていた団塊世代の多くが、自らの保身のために、自らの下の世代をリストラしただけでなく、その下の下の世代の採用をも手控えた顛末です。
さらに、この人災は、企業の後継者獲得システムを破壊しました。
企業はそれまで(良し悪しはともかく)、個人商店&強者偏重システムを勝ち抜いて来た一握りの後継者が獲得できましたが、システムを支えていた分母(=新規採用)を減らしてしまったため、一握りの後継者さえ獲得できなくなってしまいました。
だから、現在の企業経営者の多くは、団塊世代である訳です。
しかも、彼らは、右肩上がりの成功体験が今なお手放せません。
中間管理職世代は、抜け落ちてしまいました。
その下の若い世代は、右肩下がりの閉塞感しか知りません。
この世代で構成される企業の指揮系統は、「右肩上がり世代から右肩下がり世代へ」です。
以前であれば、両世代の間に中間管理職世代が居ました。
彼らは、自分の上と下の世代ギャップを勘案し、上の世代から落下してきた命令を下の世代へ翻訳落下しました。
が、彼ら無き今、それは叶いません。
私は、企業の世代間ミスマッチは拡大の一途である、と思っています。
堀さんが仰るように、今企業は、チームプレー&総力戦で闘わなくてはいけません。
それには、経営者が、社員の納得性と積極性を引き出す経営理念を掲げることが欠かせません。
同時に、経営理念は具現化することが欠かせません。
私は、昨今そう強く思っています。
たとえば、もし、経営者が、声高らかに「共存共栄」の旨の経営理念を掲げたとしても、これまでの延長線で社員へ暗黙の了解的にサービス残業を強いてしまったとしたら、両者の世代間ミスマッチは、拡大の一途を加速するでしょう。
※関連号外
ネッツトヨタノヴェル三重で起きた暴力事件に関する所感
ネッツトヨタノヴェル三重で起きた暴力事件に関する読者さんの所感(2)
▼その他の号外▼

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【Iさん】
「ネッツトヨタノヴェル三重で起きた暴力事件に関する所感」、興味深く拝読しました。
私が本報道を知り、最初に思ったこと。
それは、「起こるべくして起こった事件ではないか」ということです。
非常に冷めた感覚が己の心に巣食っているのを嫌悪に感じるものの、正直そう思いました。
堀さんも書かれているように、記事の断片のみで事件についてアレコレ語ることは難しいです。
が、少しでもご参考になればと、勝手な雑感を申し上げる次第です。
> この事実は、以下のいずれか又は複数が事実であったことを
> 物語っています。
私は、この事件の背景には、かなり強烈な弱者心理が、他の店舗スタッフの心の中、いや、社長やマネージャーの心の中にも大きく巣食っていたのではないか、と思っています。
記事から推察するに、事件が起きた店は売上が悪かったようなので、暴行を受けていたスタッフは言うに及ばず、その他の店舗スタッフもデキない営業マンだった可能性が高いです。
だから、彼らは、店長の暴行を制止すると矛先が自分に向けられるであろうこと、並びに、その矛先をかわし得る販売実績その他の武器や術を一切持っていないこと、を認識していたのではないか。
つまり、彼らは、制止したくてもできない状態にあったのではないか。
私はこう思っています。
無論、「営業成績をすぐにトップクラスに引き上げていた」ようなので、このお店にはデキる営業マンも居るのでしょう。
でも、そういう人は「有能な個人商店主」に過ぎません。
堀さんも懸念しておられますが、私も、彼が、「無能な個人商店主」を罵倒したり、無視する側に立っていたのではないか、と思っています。
(本当にデキる人は、無能な人にも優しいものです。)
私は、暴行を起こした店長の上司である社長やマネージャーは、自分の任命責任を180度逆に解釈していたのではないか、と思っています。
もしくは、何らかの引け目、即ち「弱者心理」が作用して、当該の店長に何も言えなかったかのではないか、と。
また、最悪、数字しか見ないタイプで、売上を躍進させた店長を誉め倒していたのではないか、とも。
(あくまで杞憂であるといいのですが。)
それと、私は、世代差にも着目しました。
当該の店長さん、34歳とのこと。
彼は、就職氷河期世代の社員さんです。
彼は、どのような経緯で、若くして店長まで昇り詰めたのか。
もちろん、真実はわかりません。
ただ、世代から推察するに、相当な苦労を経て昇り詰めたのではないか、と私は思っています。
きっと彼は、「会社に余力は無いが、社会奉仕だと思って、仕方なく採用してやったんだ」くらいのことは言われているでしょう。
上司からのこうした人格破壊の言われ方に耐えられず、辞めて逃げ出した社員は少なくないでしょう。
でも、この店長さんは、きっとそれを見返そうと頑張ったのでしょう。
店長の早期着任は、その結果です。
彼は、旧来型の個人商店&強者偏重システムで、見事勝利を収めました。
さて、一方の被害者の新入社員さん。
十把一絡げの表現はどうかとも思いますが、間違いなく就職売手市場世代の社員さんです。
それは、
> 会社をやめたら収入がなくなるし再就職活動は面倒くさい
という(真偽のほどは置いといて)コメントからも、透けて見えます。
この発言にキレた、もとい、感情的になった、という店長さんの気持ちはわかるつもりです。
旧世代が作った個人商店&強者偏重システムに組み入れられてからは言うに及ばず、そのシステムに組み入れられる前でさえ、就職氷河期で狭い関門を突破して来る以外無かった店長からすれば、その発言はもう、「甘ったれてんじゃねぇ!」という以前に、自分自身を否定されたような気分に陥ったことでしょう。
なぜなら、当時は、面倒臭いとか、そういう次元じゃなかったですから。
自動車販売店の営業活動に対する提言は、本職である堀さんの方が広く深いと思いますので、余計な発言は差し控えたいと思います。
ただ、社内組織のミスマッチというか、就職氷河期世代の丁度兄貴分に当たる世代が、リストラの名の下に失われてしまっていることが、今回の事件の遠因として横たわっているような気がしてなりません。
一昔前であれば、若くして抜擢された店長を、昼行灯な副店長や係長がやんわり丸く仕上げて行く、というシステムがあったからです。
私は、日本の昇進システム、特に、「営業実績が優れているから管理職に抜擢!」という人事制度が、もはや制度疲労を起こしている、と思っています。
日本の企業の多くは、何時の頃からか、「売上を上げる = 対外的折衝能力」と「部下を統率する = 対内的折衝能力」を、混同して考えるようになりました。
このことは、今多大な混乱を招いています。
就職氷河期は人災です。
当時、企業で意思決定の権限を持っていた団塊世代の多くが、自らの保身のために、自らの下の世代をリストラしただけでなく、その下の下の世代の採用をも手控えた顛末です。
さらに、この人災は、企業の後継者獲得システムを破壊しました。
企業はそれまで(良し悪しはともかく)、個人商店&強者偏重システムを勝ち抜いて来た一握りの後継者が獲得できましたが、システムを支えていた分母(=新規採用)を減らしてしまったため、一握りの後継者さえ獲得できなくなってしまいました。
だから、現在の企業経営者の多くは、団塊世代である訳です。
しかも、彼らは、右肩上がりの成功体験が今なお手放せません。
中間管理職世代は、抜け落ちてしまいました。
その下の若い世代は、右肩下がりの閉塞感しか知りません。
この世代で構成される企業の指揮系統は、「右肩上がり世代から右肩下がり世代へ」です。
以前であれば、両世代の間に中間管理職世代が居ました。
彼らは、自分の上と下の世代ギャップを勘案し、上の世代から落下してきた命令を下の世代へ翻訳落下しました。
が、彼ら無き今、それは叶いません。
私は、企業の世代間ミスマッチは拡大の一途である、と思っています。
堀さんが仰るように、今企業は、チームプレー&総力戦で闘わなくてはいけません。
それには、経営者が、社員の納得性と積極性を引き出す経営理念を掲げることが欠かせません。
同時に、経営理念は具現化することが欠かせません。
私は、昨今そう強く思っています。
たとえば、もし、経営者が、声高らかに「共存共栄」の旨の経営理念を掲げたとしても、これまでの延長線で社員へ暗黙の了解的にサービス残業を強いてしまったとしたら、両者の世代間ミスマッチは、拡大の一途を加速するでしょう。
※関連号外
ネッツトヨタノヴェル三重で起きた暴力事件に関する所感
ネッツトヨタノヴェル三重で起きた暴力事件に関する読者さんの所感(2)
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