2009年07月15日

【号外】環境対応車(エコカー)代替補助制度を契機に体感/実感/再認識した顧客向け営業活動の一心得

過去何らかの商品を購入してくださったお客さまを顧客と言います。
企業/販売店/販売員は、顧客を格好の販売対象&見込客と見なし、営業に勤しんでいます。

なぜでしょう。
理由のひとつは、新規客と比べ成約(買上)率が格段に高く、販売コストが格段に低いからです。

なぜでしょう。
理由のひとつは、非没不満状態なら、購入した商品のブランド/店/スタッフに対し、一定以上の好感と信頼を抱いてくださっているからです。

改まって書きましたが、これらは今や周知です。(笑)
みな、ある時は売り手で、ある時は買い手である(あった)からです。
このため、企業/販売店/販売員は、顧客に営業活動を行う際、以下の心得が欠かせません。
【1】顧客は、売り手の手の内やココロなどお見通しである、と心得る。

【2】顧客は、「自分の事情やニーズがスルーされている感」が漂う中様々な商品の購入を不断に勧められると、「『何でもいいからまた買えよ!』と言われている」感や「売り手から事情を押し付けられている」感や「売り手にとって自分は格好の販売対象客&見込客の一人に過ぎない」感を抱くと共に、売り手をマインドシェアから除外する、と心得る。
    
【3】顧客は、「自分の事情やニーズが個別勘案&対応されている感」がうかがえながら最適と思しき商品の購入を適時に勧められると、「助かる提案をしてもらえている」感や「売り手の事情と自分の事情が合致している」感や「自分が大事なお客としてもてなされている」感を抱くと共に、売り手への好感&信頼を高めるのはもちろん、勧められている商品の購入意欲を高める、と心得る。

ところで、なぜ、私は号外を使ってこんな話をしているのでしょう。(笑)
某自動車販売店の顧客として、環境対応車(エコカー)代替補助制度を契機に先述の「顧客向け営業活動の心得」をつくづく体感/実感/再認識したからです。

そのてん末は、以下の通りです。
恐縮ですが、私見も付させていただきました。
あなたさまが顧客向け営業活動を行う際の参考になれば幸いです。(礼)



私には、義理の父が居ます。
父は、数年前に定年退職をしています。
一昨年の末、私は、リクエストをもらい、十年来使っていた車を父に譲りました。

譲るにあたり、私は、販売店に車検整備を依頼しました。
事情も伝え、念入りに整備してもらいました。

車を譲ってからも、私宛に販売店から知らせが届きました。
「車に関する知らせは今後も私宛でOKである」旨を告げていたからです。
内容は、点検や展示会の案内でした。
頻度は、半年に一、二回といった感じでした。
手段は、もっぱらDMでした。 
私は、届いたそれらを、父に会うたび手渡していました。

販売店からの知らせは、昨年の暮れ頃から急増しました。
内容は、展示会の案内と「当店の特別なお客さまへ」と銘打たれた「お買い得車リスト」でした。
頻度は、月に一、二回といった感じでした。
手段は、相変わらずもっぱらDMでした。
私は、想定外の急増に閉口しましたが、その販売店には過去お世話になっており、 かつ、自動車販売市況が厳しいのを熟知していたため、「車検を更新して一年になるし、時節柄致し方無い」と自分に言い聞かせました。

販売店からの知らせは、この後さらに増えました。
内容は相変わらずでしたが、頻度が「ほぼ週に一回」に増えました。
私は、このことに閉口しましたが、折りしもいわゆる決算商戦時期であるため、「これまた時節柄致し方無い」と自分に言い聞かせました。

販売店からの知らせの頻度は、決算商戦時期を過ぎても変わりませんでした。
父に譲った車が「環境対応車(エコカー)代替補助制度」の対象になったからです。
内容は以下のように増え、手段に電話が加わりました。

(1)「環境対応車(エコカー)代替補助制度」&「新優遇税制」の(事前)告知
(2)↑&某コンパクトカーの値引額入り見積書
(3)「お買い得車」リスト
(4)展示会の案内
(5)点検の案内

私は、もはや自分に言い聞かせる言葉を見つけられなくなりました。
そして、先述の「顧客向け営業活動の心得」をつくづく体感/実感/再認識しました。

私は、自動車を販売する仕事に長らく従事してきました。
先述しましたが、昨今の自動車販売市況の厳しさはもちろん、自動車販売業界の慣習や事情もわかっているつもりです。
が、(1)〜(5)のランダム&高頻度な知らせは、「合理性を欠く上、節操が無い」と言わざるを得ません。
「売り手の事情を一方的に押し付け過ぎ」&「顧客の目線/事情/ニーズをないがしろにし過ぎ」だからです。
これを電話でどうのこうの言われても、顧客は明快な返答などできかねます。

では、販売店&担当営業マンは、いかにすべきだったのでしょうか。
父に新車を売りたいのであれば、まず、譲渡した車を今父がいかに利用し、いかなる所感を抱いているか、そして、いかなる新車購入ニーズがあ(り得)るか、を把握すべきだったでしょう。
 
たしかに、これは、販売店&担当営業マンにとって容易ではありません。
が、顧客である私から既に相応の好感や信頼を得ているのですから、やり様はいくらでもあったはずです。
これを端折っての(2)(3)(4)は、「どんな車でもいいからまた買えよ!」とか、「売れなくて困っているので、どんな車でもいいからまた買ってください (そして我々を助けてください)!」と言っているのと同義であり、(5)は、「まずは点検でお金を落としてください!そして、決心がついたら、今度はいずれかの車でお金を落としてください!」と言っているのと同義です。

冒頭でも述べましたが、新規客と比べ、顧客の成約(買上)率が高く、販売コストが少ないのは、好感や信頼を得ているからです。
幸いにも得られた顧客の好感や信頼は、絶えず事情やニーズの把握に努め、個別かつ大事に報いるのが賢明です。



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