2009年08月19日

【号外】「NHKドキュメント20min/自動車営業マン"売れない時代"の記録」の筆記レポート

過日、私は、7月31日にNHKで放映された「ドキュメント20min/自動車営業マン“売れない時代”の記録」なるテレビ番組(↓)の録画を見ました。

リーマンブラザーズの経営破綻に端を発する「世界同時不況」は、日本経済に依然として暗い影を落としたままだ。中でも深刻なのは自動車業界。国内の軽自動車をのぞく新車の販売台数は、前年の同月に比べて11か月連続の減少となるなど、消費の冷え込みが続いている。

番組では、逆風にさらされる長野市内の自動車販売の営業マンたちの奮闘に密着。ある会社では、ダイレクトメールでショールームに誘うというこれまでの営業スタイルを見直し、個人宅への直接訪問で、厳しい販売ノルマを達成しようとしている。

かつてない不況の中、消費者は何に心を揺さぶられ自動車を購入するのか、営業マンたちは苦境をはね除け、いかに車を売るのか。「100年に1度」と言われる経済危機下を生きる営業マンと顧客たちの姿を、現場の克明な映像・音声によって浮かびあがらせていく。

※番組HP(↓)から転載
http://www.nhk.or.jp/20min/onair/20090731.html

本番組は、マスメディアのコンテンツでありかつ放送時間が20分と短いため、編集が多々施されていました。
ゆえに、タイトルには「ドキュメント」とあるものの、不明瞭な箇所が多々ありました。
しかし、自動車販売現場の現況/普遍性/問題が営業マンの目線/事情/心情から多々描かれており、私は好印象を抱きました。

本番組の放送は、平日の深夜(※木曜の0時10分)でした。
これまでのところ、本番組を見た知人&友人はゼロです。

ついては、今号は号外とさせていただき、本番組の内容を筆記レポートしたいと思います。
あなたさまからリクエストを頂戴したり、気が向けば、改めてレビューをするかもしれません。(笑)




主人公は、宮崎豊志(あつし)さん。
宮崎さんは、長野県のホンダ系自動車販売会社で営業チーフを務めている。
年齢は35歳で、奥さまとまもなく1歳になるご子息が居る。

宮崎さんが勤務する店舗は、このところ計画未達が続いている。
会社の売上実績は、ここ半年間で前年比約マイナス10%である。
店長の清水尚紀さん(53歳)が、会議室で全営業マンにこう話した。

10台の遅れをどうするんですか。
今月挽回できるんですか。

宮崎さんは、入社以来初めてノルマ未達が半年続いている。
宮崎さんは、店長と協議の末、販売計画グラフに6台という数字を記入(※6〜7月で12台)し、他の営業マンさんも、5〜6台の数字を記入した。

宮崎さんが住む長野県は、車が生活必需品。
業界では「車が売れる県」と言われてきたが、今は違う。

宮崎さんが勤務する店舗は、営業のやり方を変えた。
[店頭]からこれまでさほど行ってこなかった〔訪問〕へ、だ。
経費削減でダイレクトメールを減らし、顧客をショールームに呼び込めなくなったからだ。

訪問件数は、一日あたり40件。
訪問先は、過去に一度でも会社と接点のある人や、買い替え時期が迫った他社ユーザーだ。

宮崎さんは、訪問に汗を流した。
が、風向きはアゲインストが続いた。
6月に入ってからの三週間、売れたのは二台に留まった。

6月の三週目、政府が打ち出した新車への買い替え補助金申請が始まった。
宮崎さんは、風向きがフォローに変わるよう期待した。
すると、10年以上前に車を買ってくださった顧客(滝澤正規さん)が、代替を検討しているのを知った。

宮崎さんは、滝澤さんのお宅を訪ね、奥さま(理恵さん)と某ミニバンの事前商談を行った。
事前商談は、スムースに進んだ。
宮崎さんは、「一家の大蔵省」である理恵さんから、以下の好感触コメントを得た。

宮:(買い替えをする上で)大きいですね、優遇税制の分と補助金の分は。
理:(それらは購入時)割引になるんですよね?
宮:そうですね、大きいですね。ここで丁度買い替えのタイミングと思っておられる方には、本当にお得だと思います。
理:いったん主人(正規さん)に見せて、だいたいいいと思います。
宮:本当ですか、わかりました。ありがとうございます。

週末、正規さんが、理恵さんと二人のお嬢さんを連れて、宮崎さんが勤務する店舗へお越しになった。
正規さんは、検討している某ミニバンに家族と乗り込み、以下の好印象コメントを発せられた。

運転席シンプルだね。
余計なモノが無いから安心安心。

宮崎さんは、当時の思いをこう述懐する。

車乗ってもらった感想もにこやかに言っていただいたし、気に入ってもらえたと思いました。

宮崎さんは、正規さんと以下やり取りしながら、見積書を作成した。

宮:(オプションの)スライドドアは?
正:いいです。片側オートで十分です。
宮:リアカメラは?
正:特には要らない。
宮:DVDは?
正:DVDはなかなか難しい。

宮崎さんは、正規さんにオプションを付けてもらいたかった。
営業成績を挽回したかったからだ。
が、それは叶わなかった。

さらに、正規さんは、雑誌やインターネットで独自調査した商品や価格に関する自称マル秘資料を出し、宮崎さんにより良好な支払い条件をお求めになった。

宮:(金額は)どのくらいになれば?
正:(値引き)14から15万円はいくんじゃない?

正規さんから提示された希望総支払い額は、宮崎さんの裁量を超えていた。
宮崎さんは、当時の思いをこう述懐する。

頭が真っ白になりました。
固まってしまいましたね。
次のことを提案する頭が回らなかったのが、実際のところです。

宮崎さんは、商談を実らせることができなかった。
夜、宮崎さんは、関係性の担保を目的に滝澤家を訪れた。
が、滝澤家は不在で、訪問目的は叶わなかった。

宮崎さんは、店舗に戻った。
そして、一人、翌日の訪問先をリスケした。
宮崎さんが退社したのは、この日も23時だった。

7月に入った。
宮崎さんは、風向きがフォローに変わる兆しを感じた。

以前勤めていた会社の先輩(※以下Aさんと表記)が、突然、宮崎さん宛てに来店くださった。
Aさんは、モデルチェンジを控えた某ファミリーカーの購入を検討なさっていた。

宮崎さんは、Aさんに27万円引きの値引きを提示した。
Aさんは、それに承服なさらなかった。
Aさんは、競合店の見積書を提示しながら、オプションの個別値引きと車両の値引きをそれぞれ強くお求めになった。
Aさんの希望総支払い額は、宮崎さんが提示した額と17万円開いた。

宮崎さんは、清水店長に商談の同席を依頼した。
宮崎さんは、当時の思いをこう述懐する。

ギリギリな額なのにもかかわらず、それを大幅に超える提示がありましたので。
店長の言葉で「これで目一杯なんです」と言ってもらうと、説得力が違うと思いますので。

店長に同席してもらったが、結論は翌日に持ち越しになった。
「奥さまと協議の上、よければ明日の二時頃再来店する」旨の緩い合意で商談は終わった。

翌日の午後、宮崎さんは、事務所からAさんへ来店確認の電話を入れた。
宮崎さんは、受話器を置くと、隣席の清水店長へこう報告した。

宮:あれ、今日来ないとか行ってますけど。(苦笑)
清:(無言)

宮崎さんは、取材スタッフへこう報告した。

拍子抜けしちゃったんですけど。(苦笑)
(Aさんが電話でおっしゃったのは、昨日の商談は)帰り際乗せられちゃった感じがあるから、冷静に判断できなくて、もうちょっと考えます、と(いうことです)。
まあ、「考える」ところは、多分他メーカーさん(の競合車)でしょう。

この後、滝澤さんご一家が、三週間ぶりに店舗へお越しになった。
宮崎さんは、あれから電話と訪問を繰り返し、正規さんから提示された希望総支払い額を受け入れる旨伝え続けていた。

宮崎さんは、正規さんと理恵さんに、改めて見積書を提示し、内容と金額を確認いただいた。
正規さんは、「決めさせていただきます」とおっしゃった。
宮崎さんは、立ち上がりながら、「ありがとうございます」を繰り返した。
正規さんと理恵さんも、立ち上がって、宮崎さんに何度も頭を下げた。

宮崎さんは、当時の思いをこう述懐する。

「宮崎さん居ますか?」と、ショールームにお越しいただいたり、電話いただいたり、頼ってくださる方がこの世の中に居るんだと思った時は、本当に嬉しいですね。

契約の手続きが終わり、滝澤さんご一家は、乗ってきた車に乗り込んだ。
宮崎さんは、「ありがとうございました」を繰り返しながら、正規さんが運転する車を後ろから一人で送り出した。
宮崎さんは、車が遠くに離れても、その場を離れなかった。

宮崎さんは、7月30日現在、6〜7月のノルマ12台のうち7台を売り上げた。



※関連号外
2009年8月19日付の号外に対する山芋洗坂係長さんの感想メール
2009年8月19日付の号外に対する雑感

▼その他の号外▼
カスタム検索

トップページ趣旨メールマガジン版(無料)のご案内筆者と会社

この記事へのトラックバックURL